BADEND IS BEAUTIFUL

バッドエンドは美しい

ヒッチコックの「ロープ」みたいなのは今なら完全に作れると思うんですよ

ヒッチコックのロープという映画は、カットが無い。それはつまりどういうことかと言いますと、ずううっっっっっっと録画ボタンを押しっぱなしな訳です。長回し。「カットォ!!」が無い。あ、ちなみにカメラは移動してます。時に複雑な動き(レールのような物を使って固定&スライド。うろ覚えだけれども。)をしながら。


ただし、この映画は60年近く前のものなのです。その当時、そんなに長い時間撮影出来る機材があったか。ある訳ありません。え、どうやって撮ったの。となるわけです。方法はなんと、驚くなかれ。人の背中をドアップにします。黒いジャケットをドアップにするとほとんど真っ黒になります。その間にフィルムを交換するのです。繋げるとどうでしょう、なんとつなぎ目がほとんど目立たないではありませんか。


しかし、違和感が全く無いとは言えません。確かに死体を隠したタンスをテーブルにしてる等若干恐怖の演出があり、それとマッチしてると言えなくも無い。ただし、その周りにその死体の親とかがいて「息子おせーな。」とか言ってる訳ですし、パーティーしてる訳です。サスペンスの棚(あるいはヒッチコックコーナー)に置いてることが多いこの作品ですが、完全にギャグです。私なんぞは鑑賞中、終始含み笑いです。


まあなんだかんだであの演出は違和感があります。少なくとも「必然性」はありません。しかし、現代ならあんな演出することもなく、違和感のないカット無し撮影が可能でしょう。ただ、ロープを再び撮っても仕方が無いし、かといってトムヤムクンみたいな派手でストイックなアクションなんぞは過労で誰か死んじゃうかもしれません。どうしても今作やソウやキューブのような小部屋ものになってしまうのではないでしょうか。


あとそんな物好きな脚本家やカメラマンや俳優がいるとも思えないし。作ったところでロープの二番煎じ扱いなんでしょ。あーあ、やってらんねーって感じじゃないですか?